2020年7月22日

文部科学大臣 萩生田光一 様

全国視覚障害教師の会(JVT)

代表 藤本 恵司 

 

 

要 望 書

 

 日頃より視覚障害のある教員の活動にご理解とご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。

私たち全国視覚障害教師の会(JVT)は、目が見えなくても、人生の半ばで見えにくくなっても、小中高校、大学、特別支援学校等、多様な機関で教壇に立ち続けるために、悩みを解決し、授業を工夫し、より専門性を高めるために、研修を積む目的で集っています。

 「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(教科書バリアフリー法)の試行から12年が経ちました。

 私たち読書に困難のある視覚障害教員が効率よく教材研究を行い、質の高い授業を提供できれば、障害者雇用促進法に掲げる教育委員会の法定雇用率2.4%を確保できると同時に、障害者活躍推進プランにあるように、「障害のある人とともに働く環境を創り、障害のある人の力を生かして未来を切り開く」共生社会を実現できると考えます。

 また、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)の基本計画にも「出版者からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する電磁的記録の提供を促進するための情報提供や助言等を行う。その際、視覚障害等のある児童生徒及び学生等の教育や研究に必要とされる書籍等や、視覚障害等のある教育関係者や図書館関係者等が職務活動の遂行に必要とする書籍等の電磁的記録の提供が重要であることにも留意する。」とあります。

 将来を担う子供たちへの教育活動の充実と障害者雇用促進のために、何卒、教科書バリアフリー法を改正いただき、障害のある児童生徒だけでなく、視覚障害のある教員にもアクセシブルな電磁的記録が利用できるよう、以下の2点につき、合理的配慮の提供を賜りたく、ここにお願い申し上げます。

 

視覚障害教員への教科書全文のテキストデータ提供

【理由】

障害のある児童及び生徒は必要に応じてデジタル教科書を併用することができることとなりましたが、視覚障害教員には教科書全文データが提供されておりません。

 教科書出版会社から購入する教師用指導書のデータでは不十分です。

 章末問題やコラムなどのデータがないと、4月に効率的に年間計画を立てられず、教材研究にも支障をきたします。

 視覚支援学校だけでなく、地域の小中高校で教壇に立つ視覚障害教員も多く、さらに不自由と困難を感じています。

 デジタル教科書が普及する中で、視覚障害教員も他の生徒や教員と同様に素早く教材の内容を把握するために、合理的配慮として「ワンソース・マルチユース」のテキストデータの提供をお願いします。

 

 

 

2.教師用指導書(以下指導書)の希望する形式でのテキストデータ提供

【理由】

 私たち視覚障害教員には、紙に書かれた活字の読書ができない全盲教員と、拡大や黒白反転すれば、文字が読める弱視教員とがおります。

 全盲教員は点字使用であり、スクリーンリーダー(パソコンの音声読み上げソフト)を活用して、テキストデータ(ワードなど)を聞きながら内容を把握し、教材研究します。

 一方、弱視教員は各自の見え方に応じてパソコンやタブレット端末上で環境を工夫して読むことができます。

 現在、指導書は紙か、PDFファイルです。PDF形式は、段組などが画像処理されており、音声読み上げソフトでは聞けません。

 そこで、内容を音訳ボランティアに録音してもらうか、紙を見える人にスキャンしてもらい、テキストデータ化してもらうので、非常に時間がかかり、授業準備に逼迫しております。

 教科書会社から購入する「指導書」の内容を、視覚障害教員にもアクセシブルなテキストデータで提供していただくことを、合理的配慮として要望します。   

 

 

 

全国視覚障害教師の会 事務担当 渡邊寛子