2020年 5月26日
一般社団法人教科書協会
会長 千石 雅仁 様

全国視覚障害教師の会(JVT)
 代 表   藤本 恵司
住所  神戸市中央区中町通 3-1-8-1302
電話  080-1466-9266
E-mail starlightexpress@ace.ocn.ne.jp



要 望 書

 日頃より視覚障害のある教員の活動にご理解とご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
 私たち全国視覚障害教師の会(JVT)は、目が見えなくても、人生の半ばで見えにくくなっても、小中高校、大学、特別支援学校等、多様な機関で教壇に立ち続けるために、悩みを解決し、授業を工夫し、より専門性を高めるために、研修を積む目的で集っています。
 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)が成立し、まもなく1年が経とうとしています。
 私たち読書に困難のある視覚障害教員の教材研究ひいては質の高い授業の提供、将来を担う子供たちへの教育活動の充実という点で、この法律の施行が寄与するところは大きいと考えます。
つきましては、視覚障害のある教員が効率的に教材研究できるよう以下の2点につき、合理的配慮の提供を賜りたく、ここにお願い申し上げます。


1.教師用指導書(以下指導書)の希望する形式でのテキストデータ提供
【理由】
12条の2に、「国は、書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。」
とあります。
 私たち視覚障害教員には、紙に書かれた活字の読書ができない全盲教員と、拡大や黒白反転すれば、文字が読める弱視教員とがおります。
 全盲教員は点字使用であり、スクリーンリーダー(パソコンの音声読み上げソフト)を活用して、テキストデータ(ワードなど)を聞きながら内容を把握し、教材研究します。
 一方、弱視教員には、アクセシブルなPDFファイルが有効です。各自の見え方に応じて環境を変えてパソコンやタブレット端末上で読むことができます。
 現在、指導書は紙か、PDFファイルです。PDF形式は、段組などが映像処理されており、音声読み上げソフトでは聞けません。
 そこで、内容を音訳ボランティアに録音してもらうか、紙を見える人にスキャンしてもらい、テキスト化してもらうので、非常に時間がかかり、授業準備に逼迫しております。
 教科書会社から購入する「指導書」が、テキストデータ(ワードやPDFなど、当事者が希望する形式)で提供されることを望みます。


2.問題集、参考書、資料、専門誌、学術論文等の希望する形式でのテキストデータ提供
【理由】
視覚障害等のある児童生徒及び学生等の教育や研究に必要とされる書籍等や、視覚障害等のある教育関係者や図書館関係者等が職務活動の遂行に必要とする書籍等の電磁的記録の提供が重要であることにも留意する。」とあります。
   生徒への質の高い授業を提供するためには、教員は日ごろから専門的な知識や技能の取得に努める必要があります。そのためには、教科書だけでなく、参考書、問題集、専門誌、学術論文等、幅広く関連書物のデータ提供が可能となるよう、要望いたします。
また、視覚支援学校においては、児童・生徒は市販の問題集や、参考書が読めない者がほとんどで、視野の関係で国語の縦書きが読めないという生徒も多くいます。視覚に障害のある教員に、テキストデータ(ワード形式)を提供いただければ、弱視・全盲(点字使用)の教員いずれも、自力で内容を理解し、読みやすい横書きへの変換、拡大、フォントの変換、また、紙では読めない点字使用者への点訳等を自ら行うなどして教材化し、児童・生徒への指導を行うことができます。
このように、アクセシブルなデータが提供されれば、生涯に渡っての学び、教養のみならず、職務活動の遂行を十分に行う環境が整備され、就労、障害者雇用に結びつき、障害者が活躍する社会の形成を目指せると考えます。
「視覚障害者等への合理的配慮の提供の観点から、出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供」を要望いたします。







担当: 渡邊寛子 TEL 090-5186-7471
                    E-mail  momo-rin@ymail.plala.or.jp