障害者雇用水増し問題や障害者統一採用試験に想う、山口雪子さん裁判の意義

山口雪子さんを支える会事務局長 重田雅敏

 秋も深まって参りましたが、支える会の皆様、いかがお過ごしでしょうか。山口雪子さんの最高裁での裁判については、いまだ何の判断も示されず、待機状態が続いております。一方、世の中の動きは大きく変化し、耳を疑うほどの障害者雇用促進事業の逆行や混乱が報道されています。ご存知の通り、8月末ごろから発覚して、大きく報道された障害者雇用水増し問題は、10月22日に国の第三者検証委員会の報告が出されました。それによれば、中央省庁全体で、これまで約6800名を雇用していると発表していたにもかかわらず、6月時点で国の33の行政機関のうち28機関が、障害者として算入できない計3700人(実数)を不正にカウント。このうち、約2600人は算入に必要な障害者手帳を持っておらず、病気や疾患もなかった。退職者も91人おり、うち3人が死亡していた、とショッキングな結果でした。障害者の雇用数も雇用率も半分に修正されてしまいました。雇用促進法が軌道に乗り始め、雇用率も徐々に伸びて、これからは量から質の問題にシフトしていかなければならないと考えていた矢先に、制度の根幹を揺るがす不祥事に、ただ茫然とするばかりです。この不祥事を改善すべく、政府は、約4000名の障害者雇用が必要なところを、当面1500名規模の採用試験を実施すると発表しました。しかし、数合わせがいかに実体のないものになってしまうかは、これまでの経緯を考えれば明らかです。労働環境の改善や、人権侵害の是正、合理的配慮など、もっと、具体的な支援のシステムを作らないと、数的にも質的にも、障害者雇用は前進できないと思います。今こそ、障害者差別解消法の理念をしっかり受け止めて、共生社会を前進させなければなりません。これまで、山口雪子さんが、地裁や高裁で勝ち取ってきた、ごく当然の判決を社会に示し、このような水増し問題の不祥事や、山口雪子さんと同じような境遇の障害者が二度と出ないように、私たち支える会も頑張っていきたいと思います。厚労省も深く反省と、報道機関で公言していますので、反省がただの批判回避のポーズになってしまわないように、しっかり山口雪子さんの状況を伝えて、一緒に改善の道筋を探っていきたいと思います。今後とも、支える会へのご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。