記念式典アピール
南澤創

 例年になく寒い冬を越え、さまざまな命が輝き始めているこのよき日に、JVT・全国視覚障害教師の会は、創立30周年の記念式典を迎えることができました。

 本日、5月3日は、1981年にこの神戸に近い大阪の地において、本会発足のための話し合いがもたれた記念すべき日です。

 発足当初のエピソードからは目が不自由な者が教壇に立つことの困難さが現在に比べると極めて大きかったことが分かります。

 教員採用試験は、視覚障害者が試験を受けられるようお願いすることから始まりました。点字受験や、視覚障害に配慮した試験の実施が認められないこともありました。

 難関を突破して教師となるも、目が不自由な者が教壇に立つノウハウの蓄積は皆無でした。お互いに情報交換や相談をし合う場もありませんでした。在職中に中途失明すると、退職を余儀なくされる事例も多々ありました。

 このような状況の中で発足した本会は、年2回の拡大役員会、毎年夏に行われる研修総会、メーリングリストによる情報交換を中心に、指導法の工夫と蓄積、相談活動、支援活動を積み重ね、現在に至りました。

 5名の発起人から始まった本会も、30年のあゆみの中でさまざまなことを乗り越え、会員数百名を越える大きな会となりました。その間に関係者の努力により、視覚障害者が学校教育にたずさわることができる可能性は大きく広がったといえます。

 しかし、視覚障害教師の活躍の場が増えることで、新たな課題が見えてきました。それは、同僚との協力体制の確立、一緒に授業に出る晴眼の先生との人間関係作り、目の見える児童・生徒にわかりやすい教材作り、テストの採点やノートの確認など、視覚障害教師が日々の教育活動を行う上で、克服しなければならない課題です。

 私たち視覚障害教師は、教育活動にたずさわる以上、こうした課題を克服するための努力と工夫を日々積み重ねる責務を負っています。とても重い課題であり、一人ではとても背負いきれない大きな責務です。

 全国視覚障害教師の会は、視覚障害教師一人ひとりに課せられたこの責務をみんなで助け合いながら果たし続けていくための研修団体です。会員の英知を結集し、視覚障害教師だからこそできる、私たちにしかできない教育活動を目指し、歩み続けていくことを参会のみなさまと確認し、アピールとします。


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