韓国親善交流ツアーに参加して
馬場洋子

 四日間のことを書いていたら、あれもこれもとまとまりのない文章になってしまい、ようやく出せそうなものができました。A4で1枚を超えてしまったので、三日目の観光のお話は省略しました。でも、ここにも忘れられないエピソードが...秋元さんに言われるまで全くお金を払っていないことに気付かなかった仁寺洞のお土産屋さんでの思い出とか、宮地さんと桜井さんとの突撃あかすり体験とか、今思い出してもにんまりしてしまいます。

 では、ここから私の拙い作文です。

 久しぶりの海外。それが、日韓視覚障害教員の交流会でした。羽田の手荷物検査も事前にいただいた情報のおかげでスムーズに通過できました。やく2時間の空の旅を経て、ソウルに着陸。携帯電話からの「海外に移動しました」の声で、ついに来たんだ!と、わくわく感が広がりました。お土産屋さんとか、空港には、韓国の教師の会の会長のパク・チュンボンさんと、イ・ナヨンさんが迎えてくださいました。このお二人は最終日まで毎日私たちの動向を見守ってくださいました。

 ホテルに荷物を置いてすぐ、韓国の先生方の用意してくださったお店に向かいました。路地裏の居酒屋的なお店でした。韓国のオモニ風(?)の店員さんが、私の手をぎゅっとつかんで葉っぱに焼肉を乗せてくれる気軽なお店でした。自己紹介では、日本語と韓国語と英語が入り乱れ、南沢さんの韓国語の歌で一気に盛り上がりました。

 二日目。午前中はソウル市役所の訪問でした。まず訪ねたのは、視覚障害者向けのサービスコーナー。日本で市役所や県庁の中にこのようなサービスを設けている例は聞いたことがありません。案内してくださった女性職員は弱視で採用されて9か月とのこと。障害のある職員を積極的に採用する法律が整備され、受験時間の延長などの措置を日本から学んでいることを知りました。1度法律が整備されてからの障碍者受け入れの速さは日本を超えるものがあるように思いました。

 それから向かったのは市役所の新館の建物で、こちらはガラス張りで明るいイメージ、市民に広く開放されているそうです。確かに、市役所というよりは博物館のようなところでした。植物が植えられていて環境意識の高さを感じました。説明の中でどきりとしたのは、ソウル市役所の旧館は日本の占領下に建てられたので日本的な色が濃いため、立て替えてくれという声と、歴史の証人として残すべきだという意見があるということでした。日本人として忘れてはいけない韓国の人々の本音に触れた気がしました。

 午後には国立国会図書館の視覚障害者へのサービスを見学後、いよいよ交流会の行われる会議室へと向かいました。テーブルには韓国側で用意してくださったお茶やお菓子、ミカンなどが並べられていました。やや緊張した雰囲気の中、昨晩と同じようにいろいろな言葉が入り乱れての自己紹介、あいさつ、祝辞などが続き、休憩後それぞれの会の活動発表や仕事についてのレポート発表が続きました。事前に韓国の先生の原稿を読んでいただいていたのですが、採用されて3年目の普通中学校で働く女性の先生のお話には、正直頭から水を浴びせられたようなショックを受けました。視覚障害を持って一般中学校で働くということはどんなことなのか、ともすれば目をそらしたくなる負の側面に正面から向き合い、あきらめず体当たりで乗り越えようとしている...私自身はどうだったかといえば、新規に一般高校で採用されて同じような問題に直面しながらも、3年目でここまできちんと分析できていただろうか。同僚の非協力や生徒の学力不足や意欲不足のせいにすることでは何も解決しないのです。また、将来の自分のポジションがどうなるか、そのためには今何をしておかねばならないかを考えて行動に移そうとしている点も、ただただすごいと思いました。

 韓国では、盲学校勤務の視覚障害の先生が意外と少なく、知的障害児の学校や一般校で働く人が多いことを知りました。その日の夕食の時にお話しした特別支援学校の女性の先生は、一人で9人の生徒を見ていて、補助者はついていないとのことでした。私のように盲学校で人員に恵まれ、パソコン機器が整備され、安全が保障された環境ではなく、はるかに厳しく、不完全な中で様々な工夫をしながらよりよい環境を作ろうと模索する日々なのでしょう。私も現状に甘んじることなく、ハングりー精神と謙虚さを忘れてはならないと、背筋を正される思いでした。

 四日間ってこんなに短かったのか?と思うほど、充実した旅でした。具体的な仕事の中身の話など、もっと話したかったこともあります。これがまず最初の1歩だと思います。制度の違いはあるけれど、日本にいても韓国にいても、生徒をよりよく理解し育てたい、できることを一生懸命やりたいという熱意は同じでした。そして、同じようなところで苦しんだり悩んだりしているんですね。

 最後に、今回はJVTの初めての海外遠征で、このような視覚障害者の団体が安全かつ快適に過ごせるよう、見えるところ、見えないところで心を配り、貴重な時間を裂いてくださったみなさんに、感謝してもしつくせない気持ちでいっぱいです。改めて、ありがとうございました。


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