記念式典開会あいさつ
代表 重田 雅敏

 みなさん本日は、お集まりいただきありがとうございます。お陰さまで全国視覚障害教師の会JVTも30周年を迎えることができました。今から31年前の今日、5月3日、この神戸に近い大阪の地で5人の先生が集まりJVTを誕生させました。

 本日、五人の先生全員がここに来てくださる予定でしたが、残念ながら大阪の有本先生が風邪のため来られなくなってしまいました。神戸の三宅先生と後藤先生、新潟の長井先生、そして広島の松田先生、おいでいただきありがとうございます。あとで当時の様子や苦労話をぜひ聞かせてください。宜しくお願いいたします。

 また、日頃より大変お世話になっております楠先生、指田先生、弁護士の清水先生にもおいでいただきました。本当にありがとうございます。後ほどご挨拶をいただきますのでどうぞ宜しくお願いいたします。

 みなさん、一口に30年といっても、一人ひとりの会員にとっては本当に大変な日々だったと思います。人一倍大変な授業準備や教材作り、危ないからできないと言われて仕事をさせてもらえず淋しい思いをしたり、なかなか障害を理解してもらえずもどかしい思いをしたり、自信をなくしてしまったり、職場で孤立したり、中には、嫌がらせに草むしりをさせられた先生や一方的な退職勧告に裁判をせざるを得なかった先生もいらっしゃいました。

 そんな中で積み重ねてきた30年という長い日々を、励ましあい助け合って何とかここまで続けてくることができました。みなさん、今日はお互いの頑張りに敬意をはらい、今まで理解し応援してくださった沢山のかたがたすべてに感謝して、大きな拍手で30周年記念式典を始めたいと思います。

 ところで私は視力が0.7ないという理由で採用を取り消されました。0.7は、教壇に立って一番後ろの席の生徒の顔が分かる視力だそうです。規則があるのだからと言われてしまうと、教師を目指したことが規則に反するいけないことだと言われた気がして、また、規格に合わない必要のない人間と言われたような気がして、大きく膨らんだ夢は萎んでしまいました。

 当時は、こんな軽度の弱視でも教師として採用されなかったのですから、全盲で教壇に立つことなど思いも寄らないことだったんです。ところが、ここの会場にいらっしゃる何人かの先生は、もうすでにその時教壇に立っておられました。先駆者としての役割を担って頑張ってこられた先輩たちに、心から感謝の気持ちと尊敬の気持ちをこめて盛大な拍手を送りたいと思います。

 また、私は、40代で視力が急に低下しました。職場では、自分の居場所が段々なくなっていき、肩身の狭い毎日を当てにもならない希望にすがりながら、いつやめようかとカウントダウンして過ごしました。ここにいらっしゃる中途視覚障害の先生は、みなさん誰もがこのような辛い経験をされて来られたと思います。

 そんな時、私はJVTに出会いました。同じ障害の先生が元気に頑張っている。直接お会いできて元気が出ました。いろいろな工夫や指導法がある。自分にも何かできることがあるかもしれない。そう思った時が、前向きになれた転機だったと思います。

 そして、障害のあることを堂々と生徒たちの前で告知している。当時、白杖を持つこともためらっていた私は、その勇気と前むきな姿勢に圧倒されてしまいました。本当にすごいことだなと思いました。

 それと同時に、そこにいらっしゃった先生方の、これまで歩んでこられた険しい道のりを共感を持って思い浮かべることができました。どんなに前向きに頑張っていても、障害を持つ辛さや仕事を続けていく大変さは、同じだと思いました。

 その時、私は、助けを求めてJVTに参加していたので、何の力にもなれるはずもないのですが、同じ障害のある先生方が一生懸命頑張っている状況を知り、この人達の何か役に立ちたい、この人達の味方になりたい、同じ境遇の人達一人ひとりに幸せになってほしいという、強い気持ちが湧き上がってきました。

 一人だけで抱えている辛さや悲しみは、絶望へと続いていくかもしれません。しかし、みんなで共有できた辛さや悲しみは、復活し前進するためのバネになると思います。

 みなさん、まだまだ障害があるために教壇に立つことを諦めてしまう若者がいます。視力が落ちても誰にも相談できずにひっそりと退職していく先生も多いのではないでしょうか。

 これからも人一倍の努力と忍耐がいるかもしれませんが、これから続く人達のためにしっかりレールを敷いていこうではありませんか。

 精一杯チャレンジして、自分らしく輝きましょう。そして、きっと苦労するであろう未来の仲間たちのために、希望の光になろうではありませんか。

 本日は、北海道から九州の鹿児島まで、全国各地から50名を超える沢山の方々に来ていただきました。

 五人で始まったJVTも、100人を超える団体へと成長しました。この絆を大切にして、これからも誇り高く、50周年、100周年、さらにその先を目指して、励ましあい助け合っていきましょう。

 式典のあとには、夕食を囲んで楽しい記念パーティーがあります。若い先生たちが、一生懸命盛り上げてくれますので、お互い大いに歓談し、大いに交流を深めましょう。

 本日は、お集まりいただき本当にありがとうございました。以上で私からのご挨拶といたします。ありがとうございました。


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